才能希求譚【脚本】
秋の夕方。燃えるように赤い空の色。
3人はいつものように話をしている
有村 だからそんなことやってる暇なんてなかったんだよ
柴田 週刊少年サーズデー読んだか?
有村 ああ、読んだよ
遠山 あ、ボロ出たよ、よっしゃ
柴田 よっしゃ
有村 なにがボロだよ
遠山 週刊少年サーズデーは水曜日発売、そしてその課題が配られたのも水曜日だ。その日に買って読んだから課題が出来なかったに違いない
有村 当日に買ったかはわからないだろ
柴田 毎週当日に買ってるって言ってるだろ
有村 くっそ
遠山 ってことはサーズデー買うのを我慢したなら課題をやる時間もあったし、考査の勉強もできたな
柴田 立証
有村 もう考査捨てることに決めたからいいんだよ
遠山 開き直るなー
柴田 単位落とす危機なのに?
有村 考査とかテストに全力注いでもね、限界はあるんだよ
遠山 またその言い訳使うつもり?
有村 言い訳じゃない、才能無いのは事実
遠山 確かにまぁ才能の問題はあるかもしれないな・・・
有村 170人中最高順位140位だぞ、俺は見捨てられてんだ
有村 平日5時間休日12時間勉強してな
柴田 えっそんなに勉強しててそれだったの
遠山 まぁ柴田は勉強してる姿見たことないけどな、昔から
柴田 俺も勉強とかは諦めてんだ
遠山 いや諦めるなよ
有村 お前は地頭がいいからそんなこと言えるんだろ
遠山 はいはい、そんなこと言ってないで勉強してろ
柴田 ノー勉で最高得点何点だ
遠山 数A96点
有村 ハイ才能
柴田 努力してんのバカみてぇじゃん
遠山 俺が努力してないってこと?
有村 してないだろ
遠山 このテキストの量見ろよ、これで努力してないって言えるのがおかしい
柴田 いや、裏で努力してるかもよ
遠山 話聞いてたか?
柴田 努力しないでもなんか才能あるやつ、本当に嫌いなんだよ
遠山 本当に勉強してるんだけど
有村 じゃあマジで数学教えてよ
遠山 一年で留年は本当に笑えないしな。柴田も努力したらどう?有村みたいに
柴田 努力しても無理ですー
遠山 前回の考査。古典は?
柴田 33
遠山 数学
柴田 23
遠山 現社は
柴田 89
有村 いやそれは高いんだね
遠山 ほら、努力したくないなんて言ってらんないでしょ
柴田 遠山さん、現社を教えてください
有村 いや意思弱いね
遠山 いやなんで現社なの、現社何点だった
柴田 89
遠山 数学は
柴田 23
遠山 よし、お前も数学だね。
柴田 くっそ・・・
才能屋の店内。外は燃えるような夕焼けだが、夜の足音も近づいている。
また一日、桐生と弁財天は何もせずに過ぎ去っていこうとしている。
桐生 明日は絶対買ってくるからさ、許して
弁財天 ・・・
桐生 そんなに怒ることか?こうさ、米は食えたんだからそれだけでも
弁財天 俺朝はパン派だって言ってるよね?米でいいと思った?
桐・弁 俺神だぞ?
弁財天 なんでわかった
桐生 昨日もそのセリフ言ってた。ていうかさ、お前あっちの方の神じゃないだろ、米食えよ!
弁財天 何言ってんだ
桐生 あの、なんていうんだろう、和風じゃん、和風の神じゃん。
弁財天 和風の神ってなんだよ
桐生 んーと、日本!日本っぽい神じゃん。なのになんで米派じゃなくてパン派なの?
弁財天 やっぱり海外の風感じたいじゃん?
桐生 やっぱお前神じゃないだろ?
弁財天 神だけどな。ま、ここの米はおいしい方ではあるな
桐生 何様なんだよ
弁財天 神様だよ
桐生 腹立つなぁ~
弁財天 神にそんなこと言っていいの?
桐生 あーわかったわかった。これからパンにするから
弁財天 よし
桐生 でも稼げない日の方が多いからさ、その日は米で我慢して?
弁財天 その代わり稼げたらデニッシュパンね
桐生 はいはい。
弁財天 やっぱチラシだけじゃ今どき弱いって。ツイッターのアカウントとか作ってみたら?
桐生 「怪しすぎる」「ガセ乙」って悪口言われて終わりだぞ
弁財天 ガセ?
桐生 なんでデニッシュパンわかるのにガセの意味わからないんだよ。ていうか、お前ご利益とかないの?
弁財天 自分の意志とは無関係なんだ、すまんな。ご利益があるときはないし、ないときはないんだ
桐生 役立たずだなぁ
弁財天 とか言ってる間にもう夕方ですけど
桐生 今日も客ゼロ・・・
弁財天 いや、来てる!
桐生 そんなわけないだろ、こーんな夕方に。
弁財天 俺これ黙った方いいんだよね?
桐生 来てないから別に
ドアを開ける音
桐生驚き、弁財天は銅像のように動かなくなった
桐生 うわぁ本当に来た!
有村 え?
桐生 (咳払い)いらっしゃいませ。
有村 すみません。このチラシを見て・・・
桐生 チラシを見てですか、ありがとうございます。
弁財天 チラシの宣伝効果まだあるじゃん
桐生 ・・・
有村 ・・・
桐生 今日は才能をお買い求めで?
有村 はい。才能を買いに
桐生 それはそれは喜んで
弁財天 どんな才能欲しい?
桐生 ・・・空耳ですよ
有村 何も言ってませんけど
桐生 あ、そうですよね。はっははは
有村 ・・・才能なんてどうやって買うんですか
桐生 天恵丸、っていうものを作ってるんです。それを買ってもらう形になります
有村 それって、どう作るんですか?
桐生 それは教えられないんです。すみません。
有村 なんか怪しく見えるんですけど。
桐生 全然怪しくないよ、大丈夫。今の店の雰囲気からそうとは思えないだろうけど
有村 怪しいですよ、やっぱり。作り方教えてくれないと
桐生 決まりなので。
有村 えー。なんの才能でも手に入るんですか?
桐生 はい、入ります。運動神経が欲しい、トムクルーズみたいになりたい、絶対音感が欲しい、とにかくなんでも手に入ります。
あ、ただ、空を飛びたい!とか、超能力的なのは手に入りません。
弁財天 空飛びたきゃオレンジの玉を7つ集めろ~
有村 えっ!
桐生 何ですか?
有村 今、銅像が!喋りました!
桐生 んー、空耳ですよ
有村 今、完全に口が動いて
桐生 というか、さっきからしゃべってま
有村 認めちゃいけなくないですか
桐生 え、今私認めました?え?え?認めてないですよ~自分の脳がバグ起こしたんですよ~あ、今のは私の腹話術です。
有村 さすがに無理がありません?
桐生 私、こう見えていっこく堂に弟子入りしてたんです
有村 無理ありすぎですよ
桐生 あ、じゃああなたの脳内に直接語りかけたんです
有村 じゃあって言っちゃったじゃないですか。まぁ、銅像って体で行きますけど、この銅像何ですか?
桐生 これは弁財天。七福神の中の一人です。私がこの店を継いだ時からずっとあります。商売繁盛を願って、ってことだと思うんですけど・・・昔からご利益ある感じはありませんでしたね。
有村 昔から、ってことは昔から知ってたんですか?
桐生 ま、まぁともかく、あなたも才能を買いたい、ってことで大丈夫ですか?
有村 はい。
桐生 本当ですか?
有村 ?
桐生 やっぱりやめますか?
有村 ・・・
桐生 ちょっと買ってみればいいですよ
有村 は、はぁ。
桐生 ありがとうございます。じゃあどんな才能をお求めですか?
有村 ・・・
桐生 どうしました?
有村 何の才能が欲しいか、自分でもよくわかってないんです」
桐生 ?
外の色は少しオレンジがかっている。3人は並んで歩いている
柴田 今日のテストどうだった?
遠山 81。最悪
柴田 いやそれ高得点だよ。
遠山 点数低いんだって
有村 これ以上言ったら口縫うぞ
遠山 お前は何点?
有村 75だった
遠山 まぁ、平凡だよな
有村 テストの点数で平凡って何?
柴田 こうさ、20何点!とかだったらイジりやすいのにさぁ
有村 別にイジられたいわけじゃないんだけどね。いやー、頑張ったのに
柴田 それじゃあ頑張った内に入らねぇな
有村 いや俺は頑張った
柴田 お前はね?でも点数に出ないってことはがんばってないでしょ。いい?結局は結果主義、努力が大事とかきれいごと言う人いるど結局は結果
遠山 そんなに言う?
柴田 こうしてまでも言わなきゃ気づかないよ、才能ないことになんて
有村 いや、もう気づいてるよ
柴田 あ、俺ここ曲がるわ。じゃあね
遠山 じゃあねー
有村 じゃあねー
遠山 嫌なこと嫌って言わなきゃいつか限界来ちゃうよ?
有村 でもさ、キレたら引かれちゃうでしょ
遠山 まぁそういうこともあるかもしれないけど…嫌なことは嫌って言わなきゃダメだよ
有村 自分に才能があったらこんなこと言われないで済むのにな
遠山 そんなに才能欲しいの?別に才能なんかなくたっていいと思うんだけどね。実際、あなたはクラスでも人気者だし。普通に幸せな方だと思うけど
有村 絵画コンクールでは金賞、球技大会でも最優秀選手賞、通知表はオール4以上!才能だらけのお前に言われたって説得力ないけどね
遠山 とか言うけどさ、お前だって文学のなんか得意なんでしょ?
有村 いや、それは偶然だよ。小説のコンクールとかに出す気なんてなかったし、適当に出したらなんか受賞したっていう
遠山 それならすげぇじゃん
有村 小さい時から兄さんの演劇とかそういうの見せられてさ、格好いいなって思ってたんだわ
遠山 脚本?ドラマ?
有村 いや、演劇。演劇の方が人に気持ち伝わるんだよ、多分
遠山 意識高いねぇ
有村 ぶっ飛ばすぞ。小さい時から兄さんの影響受けたから、格好いいなって思った。あなたは私より才能あるから、もっと頑張ってみればいいと思う
遠山 いや、俺は才能欲しくないけどね。
有村 なんで?あるに越したことないよ
遠山 周囲からの期待ってものだよ、有村さん
有村 周囲からの期待?喜ばしいことじゃない?
遠山 あなたにはわからないだろうけどね
有村 その才能、代わりに俺が欲しいよ、絵の才能とかあったらもう毎日絵描きまくるよ
遠山 この才能あげれるならあげたいよ。普通に暮らしたいな
有村 贅沢な悩みだよな
遠山 確かにお前には才能ないけど・・・それ以上にいいところいっぱいあるし、全然気にすることじゃないと思うけどね。お前にとって俺は羨ましいだろうけど、俺にとってもお前が羨ましいよ
有村 もう、なんか才能やりとり出来ればお互い幸せ説あるよね
遠山 あ、そうだ。そんなに才能が欲しいなら・・・
(バッグの中からチラシを取り出して有村に渡す)
有村 才能屋・・・?
遠山 才能買えたりとかするらしいよ
有村 このチラシ初めて見たけど、どこで見つけたの?
遠山 治安悪い駅の裏口のごみ箱の下に挟まってたんだよ
有村 なんで治安悪い駅の裏口行くの?
遠山 冗談冗談。まぁ本当にあるのかわからないけど。行ってみればどう?
有村 お前・・・最高!才能買えるの?めちゃくちゃ買うよ!
今日帰りサーズデー買おうと思ってたけど我慢して才能買う!じゃあね!(下手に走り去る)
遠山 気をつけてね
有村 (戻ってくる)駅ってどっち?
遠山 才能買う前に方向音痴直そうな
桐生 え、じゃあチラシ貰うまでこの店の存在はわからなかったの。
有村 そうです
桐生 天恵丸の知名度・・・低いんですね
弁財天 うちもCMとかやる?
桐・有 (銅像を見て)・・・
有村 やっぱりしゃべって
桐生 じゃあ、買う前に一つ聞きますよ
有村 なんですか?
桐生 才能を買おうとする前に、努力しましたか?
有村 努力?
桐生 努力です
有村 あ、はい。しましたしました。それでも無理だったので買いに来ました
桐生 そうですか・・・ならあなたにはうちの店でもトップクラスの天恵丸を処方しましょう
有村 トップクラス?
桐生 使えばわかりますよ。毎晩寝る30分前にこの天恵丸を口に含んで噛んで食べてください。ただ、少し苦いですけど。良薬口に苦しってことです
有村 一晩で効き目、出ますか?
桐生 まぁ効き目も最高クラスだから、すぐ効果出てくると思いますよ。はい、3000円頂戴いたします
有村 え、高くないですか・・・
桐生 自分への投資だと思えば安い方です
有村 ・・・そうですね、わかりました
桐生 ちょうど3000円いただきますね、これ品物です
有村 ありがとうございます。
桐生 ありがとうございましたー
桐生 ・・・おいお前話しすぎでしょ
弁財天 いやいやずっと静かにしてるのも大変なのわかる?次あいつ来た時お前が神になってみる?
桐生 いや神にはなってみたいけど。
遠山 お前ら今日の現社の小テスト何点だった?
柴田 89点~絶対有村に勝ってる~
有村 ああ俺?100点
遠山 え、すごい!
柴田 お、お前が100点?
遠山 まぁ、今回の問題めちゃくちゃ簡単だったよね
有村 あ、あとさ、お前らに言ってなかったけど今日の体育の1000m3分切ったんだよね
遠山 え、マジで!
柴田 嘘だろ・・・
遠山 ちょ、ちょっとさ、有村来て
有村 え?
遠山 お前さ、今日どうしたの?てか、最近どうした?
有村 ま、まぁ?俺の時代来たなって感じ?
遠山 お前、天恵丸・・・?
有村 すごい効果感じるよ、毎日絶好調
遠山 お前さ、あんまり使いすぎない方いいよ
有村 なんで?簡単に才能手に入るならいいでしょ、副作用とかもないって聞いたし
遠山 それは違うよ
有村 なんで?
遠山 なんか、さ。あんなにいい商品なのにさ、その店の存在を初めて知ったっておかしいと思うんだ
ああいうの、たくさん副作用とかあったりして
有村 いや、普通に見つけられなかっただけだよ
遠山 そうかな?なんか違和感感じるんだけどな
有村 あ、柴田。起きた。
遠山 なんかもう、飯どうでもよくなってきた。
柴田 ・・・なんか暇つぶしできるものないの?
遠山 あ、それじゃあ・・・
有村 なんかある?
遠山 ババ抜きするか!
柴田 よし、じゃあ俺シャッフルするわ。
遠山 あれ?柴田・・・シャッフル下手じゃない?
有村 ちょっと、俺に貸してみて
遠山 !?早すぎる!!
柴田 早すぎて残像が見える!!
有村 どう?このマジシャンばりの手さばきは
遠山 まるでMr.マリック!
柴田 そこはセロだろ!
有村 Daigoがいい!
柴田 ウィッシュ?
有村 そっちじゃない!
遠山 まずDaigoはマジシャンじゃないよ、
遠・有 メンタリスト
有村 よし、シャッフル完了!やるか!
柴田 ぜぇ、ぜぇ・・・もう・・・才能無し村って呼ぶのやめるわ・・・
有村 俺の才能にようやく気付いた?
遠山 柴田の戦績、50戦中48敗2分だね。
柴田 引き分けって何?
有村 お前の方が才能なかったんじゃないの、才能無し田君
遠山 なんか、有村気強くなってない?
柴田 なんか、すごい攻撃的だよね
有村 お前に言われたくないけどね
柴田 え、じゃあもしかしてこの中で一番下なの俺?
有村 かもね
遠山 ま、まぁ気にしなくていいよ、うん
有村 ちょ、じゃあ俺才能屋行くから帰るわ
柴田 え?
遠山 おう、じゃあな
柴田 才能屋?
遠山 才能買えるっていう店なんだけど
柴田 いや、それは知ってるけど
遠山 え?
柴田 え?
遠山 なんで知ってるの?
柴田 えーっと、偶然見かけたんだよ、ああ
遠山 あ、そう
柴田 な、ならよ、努力する意味無くなるってこと?努力しないで有村も才能手に入れてんの?
遠山 え、ん、まぁ
柴田 ふざけるなよ、マジで。
遠山 なんでそんなに怒るの?
柴田 俺言ったでしょ。努力しないで才能ある人は嫌いだって。努力しても手に入らねぇのに
遠山 努力しても?
柴田 生まれつきの才能になんか努力したって勝てないんだ。
遠山 柴田・・・まだ悔しいのか、あのこと。
柴田 努力したって追い付けないから。あの時入ってきたフォワードは元から才能があったんだよ。
遠山 それは昔のことじゃん
柴田 才能だらけのお前に言われたくないけどね
遠山 ええ?
柴田 努力すればどうにでもなるんだ、頑張ってさえいれば、って。そんなの嘘だったんだ
桐生 いらっしゃいませー・・・あ、君。また来てくれたんですね
柴田 !?
柴田は有村を見るや否や、焦ったように店内から出る。
有村は少し困惑するも、桐生に話しかける
有村 あの・・・
桐生 どうしました?
有村 天恵丸完璧すぎます!本当にすごいです!テストの点数もよくなって、ババ抜きとかも強くなって!
桐生 だから言ったじゃないですか、効き目最強クラスだ、って
有村 やっぱり才能って簡単に手に入るんすね、最初は胡散臭いなって思ってたけど。すごいです
桐生 飲めば飲むほど効果が出てきます。このまま飲み続けてください、そしたらもっともっと才能が
弁財天 待って!
有村 あ、また銅像・・・
桐生 気のせいですよ。今日はどんな才能をお買い求めで?
弁財天 待って!
桐生 ・・・ごめんなさい。一回店の外で待っててもらえますか?天恵丸の準備が出来たらまた呼びますね。
有村 は、はい。
桐生 なんだお前、話さないでって言っただろ。
弁財天 今日はあの子、いったん帰さないか。
桐生 なんで?
弁財天 それは後で話す。彼を待たせちゃいけないだろう
桐生 何言ってるんだ、帰す必要はないだろ。入ってきていいよ
弁財天 おい、この店から出ていくぞ
桐生 助かりまーす
弁財天 (驚くような感じ)
有村 何してたんですか
桐生 あ、準備です。天恵丸作る前に、たくさんやらなきゃいけないことがあるんです。下ごしらえみたいなものですね
有村 なるほど・・・天恵丸の準備、大変なんですね
桐生 そうですね、いろいろ作業があるので。今日はどんな才能をお求めで?
有村 うーん、どうしようかなぁ。 これ、なんですか?
桐生 ああ、それですか。才能銀行っていうんですけどね。才能のリサイクル品みたいなものですね。価格も新品より半額になってますけど、あんまりお勧めしませんよ。
有村 才能を出品したり、ってのもできるんですか
桐生 まぁ、一応できますね
有村 そんな人っているんですか?
桐生 まぁ、いればこんなホコリだらけではないですね。まぁ、使わない方がいいですよ
有村 えぇ?なんでですか
桐生 なんでって・・・昔の機械ですからね?
有村 なら、普通に買いま
桐生 やっぱり才能銀行使ってみますか?
有村 えっ・・・はい。どうかしましたか?
桐生 いや・・・
有村 まぁ、才能銀行、使ってみたいです
桐生 はい、大丈夫ですよ。私のおススメでいいんですよね?
有村 はい、お願いします
桐生 (機械を触る)
んーと、よし。これ。・・・あれ、反応しない。(叩く)
仕方ない、これか。はい、どうぞ
有村 何の才能ですか?
桐生 なんの才能かはわからないです、ごめんなさい。なんかくじ引き感覚で楽しんでみてください
有村 ちょっと無責任じゃないですか?
桐生 まぁ、そんなもんだと思いますけど
有村 ちょっと意味わからないです
桐生 今回は4500円ですね。
有村 前回よりも高い・・・
桐生 元々は9000円の才能です、これでもかなり安くなってますよ。
有村 貴重なバイト代なんですけど、買っても後悔しませんよね?
桐生 いやあ、それはわからな
有村 後悔しませんよね?
桐生 ・・・後悔しないです!
有村 本当ですか?
桐生 ・・・後悔・・・
有村 どっちですか?
桐生 (小さめにお願いするジェスチャー)
有村 ・・・買います
桐生 ありがとうございまぁす!!
桐生 ちょうど2600円頂戴いたします。
有村 ありがとうございます、また来ます!
桐生 ありがとうございましたー。
・・・やっぱり静かにできないのか?
弁財天 彼にはもう才能を与えてはいけないよ
桐生 なんでそんなことを
弁財天 天恵丸のせいで、彼の人格が少しずつ破滅に向かってるんだ
桐生 ?なんで
弁財天 俺は神、そこらへんの人間の未来なんてお見通しだよ。因みに桐生の未来も見えてるからね。
桐生 それが今言うこと?
弁財天 いくら謙虚な人でも、才能があったらちょっとは図に乗っちゃうと思うよ
桐生 まぁ、確かに。
弁財天 彼にはこれ以上の才能を与えてはいけないと思うんだ。彼の人生はもちろん、周りの人の人生も大きく揺るがす。
桐生 いや、まだいいでしょ
弁財天 本当にやめた方がいい。お前と同じ道を辿るぞ。
桐生 ・・・
弁財天 後悔したんだろ?お前も。同じ道、辿ってほしくてこの店継いだのか?
桐生 うるさい、この店の経営権は俺にある。
弁財天 お前、天変地異起こすぞ
桐生 しっ
弁財天 (驚くっぽい顔)
有村はつまらなさそうに教科書に落書きをしている
遠山と柴田は向かい合って勉強をしている
柴田 前頭葉が壊死!
有村 いやいやいや物騒だよ!キングオブ物騒!
柴田 仕方ないでしょ、テストの範囲なんだから
遠山 今回の現社難しいらしいよ、何そんな絵描いてるんだよ
柴田 (覗く)
柴田 おい、こいつ芸術家なってるぞ!
遠山 (覗いてから) え?
柴田 なんだこの絵!ピカソかよ!遠山並!
遠山 あ、ああ
有村 え、うん
柴田 調子いいにせよ極端すぎない?
有村 このままトップ目指そうかな
柴田 そうですかそうですか
有村 なんでそんなに反応冷たいの?
柴田 別になんでもないよ
有村 そうか、この俺様が才能手に入れたから悔しいんでしょ
遠山 ちょっと、やめろよ
柴田 黙って
有村 なんだよ
柴田 ちょっと才能手に入れたからって調子乗ってんじゃねぇよ
才能なんてそんなに羨ましくない。羨ましくないからすごいとも思わねぇよ
有村 その割に才能のこと気にしてるようだったけど?この中で一番俺が下だとかって
柴田 そんな1つの要素で決めるのもバカバカしく思えてきてね
有村 ふーん、そんな風には全く思えないけどな
有・柴 ・・・
有村 そういう柴田も。才能屋行ってるでしょ
柴田 は?行ってないけど
有村 嘘だ。俺見たから。焦って逃げてたよな。
柴田 ・・・
有村 なんで逃げるんだよ。自分の裏、見られるの嫌だったか
柴田 そもそも行ってない。そんなのに頼るよりだったら死んだ方がマシだね
柴田は立ち去る
遠山 絶対、行ったよな
有村 なんで嘘ついたんだろう
遠山 柴田なりに考えてることあるんだろうな。いつかはわからないけど、多分そういう出来事があったんだと思う
有村 そういう?
遠山 あくまで予想だけどね。
有村 中学の頃には一時期病んでる感じの時期はあったけどねぇ
遠山 昔からそういう気持ち抱えてたりするんだよな、ああいう人ほど
桐生 いらっしゃい。
弁財天 いらっしゃい。
有村 いや、最初から話してるじゃないですか
桐生 ああはいはい話してないですよ
有村 ・・・遠山の才能って分かってて僕に絵の才能を?
桐生 え?いや、そんなことは全く
有村
桐生 なんでですか
有村 みんな、苦しんでるんです。望まない方向に向かってるんです
桐生 あなた、私は聞きましたよね?買うときに後悔しないか、って
有村 それは・・・
桐生 何が起こっても知らないよ、ってことです
有村 無責任じゃないですか、それ
桐生 無責任なのはあなたの方でしょう
有村 才能捨てる方法、ないですか
桐生 返品は受け付けませんよ?
有村 なんでですか
桐生 無責任に才能をやり取りされては困るんです。だから、そういう決まりなんです
有村 みんな苦しんでるんです、お願いします
桐生 それは無理です
有村 なんでですか
桐生 自分の行動に責任を持ってください
有村 ・・・
桐生 ・・・
有村 ?
桐生 世界の人々は、無計画に天恵丸を使用したんです。言いたいこと、わかりますか
有村 わかりません
桐生 重大な副作用が起きることは最初から分かっていました。なのに・・・
あなたは才能を手に入れた瞬間、周囲の人に対して攻撃的になった。攻撃的になったからあなたから友達が離れていった。
有村 じゃあ、なんで僕に遠山の才能を渡したんですか
桐生 いやぁ、それは偶然です。本当です。意図的にはやっていません。でも、これだけは言えます。段階を踏んで少しずつステップアップしていく、それが人の力、所謂人間力。それをすっ飛ばした君は、人間力という土台がないから、手に入れた才能に対応しきれなかった。
有村 自分に非はないって思ってるんですか
桐生 自分に非はないって思ってるんですか
有村 !
桐生 人とコミュニケーションできる力は人間力。リスクを考えて実行するかどうかも人間力。散々後悔しない?って聞いたのに、そこで買うを選んだ、それも人間力です。
有村 そんなの無責任じゃないですか
桐生 いえ?生きていく上のひとつの道を示しただけですよ。自分にとって必要かどうかを見極められないということは、まだまだでしょうね
有村 ・・・あ、じゃあ、普通に別の才能預けるのはいいですか
桐生 何のですか?
有村 文学の才能です。
桐生 文学の才能?ああ、それなら。
有村 (機械を操作する)
桐生 操作方法わかります?・・・ちょっと、絵の才能預けてるじゃないですか。それはダメだって言いましたよね
有村 返品がダメなんですよね、なら預けてもいいってことじゃないんですか
桐生 同じことです!今すぐ操作を止めてください
(押しのけようとする)
有村 何するんですか!(押しのけ返す)
桐生 こっちのセリフですよ!
有村 やめてください!・・・
これで、この才能は誰にも行きませんよね
桐生 ちょっと!あなた壊しましたね?
自分が何したかわかってますか?数十年分の才能が入ってたんですよ?
有村 それがどうしたんですか
桐生 数々の才能が失われたんです、わかりますか?
有村 こんなもの、失われていいです
桐生 あの、今君が言ったことを振り返ってみてください。
気持ちを踏みにじったことに気づきますか、君の近くにいる人の。
有村 え?
桐生 君は才能が欲しいのかもしれないけど、才能を捨てたい人もいるんですよ
有村 捨てたい人?
桐生 才能銀行は、そういう人の逃げ道にもなっているんです。
才能を手放すことに後悔はないと言っていましたが、多分後悔しているでしょう。
有村 それって、誰なんですか
桐生 自分で探ってみてください。すぐわかりますよ。
金曜の放課後、ファミレスの店内。
有村 そうそう、小学生のころからよく見てたんだよ
遠山 へぇ、じゃあ吉祥寺とか池袋もよく行ったってことか
有村 うん、兄がそこらへんの劇団で劇作やりたいって言ってたから
遠山 何気に初めてだよね、有村の兄さんの話
有村 そうだね、意外と話すタイミングなかったし
遠山 兄とかさ、身近に目標になる人いればすごい楽でしょ
有村 まぁ、身近で見てきたから脚本の書き方とかはなんとなくわかってたかな
遠山 俺はまぁ誰からも絵のこと教わらないでここまで来たけどさ、ちょっと最近書くのに手こずってるっていうか
有村 え、そうなの?
遠山 うん、イメージが浮かんでこないようになったんだよ
有村 大変だな。スランプってやつか
遠山 理論的なこと、すっ飛ばしてきたからかなぁ
有村 うーん。
遠山 ・・・
有村 ・・・
あのさ、遠山?
遠山 ん?
有村 小学生の時から、ずっと絵書いてたよね
遠山 うん、書いてた
有村 金賞、だっけ
遠山 コンクールで、だね
有村 絵、書いてて楽しい?
遠山 まぁ、楽しいかな
有村 なんでためらったの?
遠山 いやぁ、別になんでもないよ
有村 中2のこと、まだ引きずってる?
遠山 ・・・
有村 あんな奴らのことは気にするなよ。
遠山 嫉妬される側の気持ち、わかるの?
有村 わからないけど
遠山 たくさん悪口も言われてた。
有村 そうなの?
遠山 「あいつは調子に乗ってる」「大した才能無い」って。
有村 その絵の才能を捨てたの、悔しくないの?
遠山 才能を捨てた?
有村 俺、もう気づいてる。
遠山 自分自身の才能を生かせないなら、誰かに渡した方がいい、って思ったんだ
有村 なんでそんなことしたんだよ
遠山 小学校の時から才能欲しいって言ってたから、さ。
有村 自分のこと、もっと大切にしなよ。自分の可能性を捨ててまで、そんなことされるとさ。思いやりのつもりかもしれないけど、俺は苦しい。
遠山 ・・・
有村 すこし、考えてほしかったかな。
遠山 「秋田からの挑戦 期待の若手画家」
有村 ?
遠山 「将来に期待 秋田市の高校生画家」「秋田発!世界に挑む高校生画家」
有村 何?
遠山 世界の高校生も参加する、大きいコンクールあって。そこで入賞したんだ、多分有村にも柴田にも言ってなかった。受賞してから、いろんなメディアから取材が来てさ。その記事とか、放送見た人からいろいろ声掛けられて。
有村 おお、すごいじゃん
遠山 まぁ、表面上ではすごいねって言われてる感じしたよ。俺が学校の廊下歩けば、こっち見ながら話してる人もいる。
有村 だから捨てたの?
遠山 まぁ、それだけじゃないけどね。
有村 絵は、書いてて楽しかったんでしょ
遠山 楽しかった。でも、正直な話、才能捨ててからもっと楽しくなった。
有村 ・・・
遠山 怒ってるよな?
有村 いや、怒ってはないって。
遠山 勝手に有村のこと巻き込んでさ。自分の都合だけで
有村 俺がお前の才能を貰うことで、悩みが解決するならいいよ。でも、失ったら失ったで、後悔しないかなって。もう遅いけどね。
遠山 今はまだわからないよ。これからどうなるかなんてさ
有村 そんなことになる前に、相談してくれればよかったのに。
俺、なんとなくわかるよ。あんまり言いたいこと言えないっていうかさ。ブレーキかかってんだよ、気持ちに
遠山 俺の?
有村 うん、お前の。別にそんな迷惑なんて気にしなくていいからさ。そんなんで悩んでたらもったいないだろ。・・・まぁ、よかったよ。お前がそれで楽になるなら
遠山 有村は怒ってないの?
有村 才能、返却出来ないって話だったからさ。受け入れるしかないよ。
遠山 本当にごめん。
有村 でも、そのかわり。俺の生きるはずだった道、ちゃんと生きてよ。お前の才能、無駄にはしないから。
空気が澄み、すっきりと晴れた朝
静かな店内で桐生は荷物をまとめている
弁財天 え、何?まだ年末じゃないよ?
桐生 いや大掃除じゃない
弁財天 じゃあ何そんなに物まとめてんだよ
桐生 店、やめるわ
弁財天 なんでだよ
桐生 私のやりたいことじゃなかったから。簡単な話
弁財天 ・・・後悔してんのか
桐生 え?
弁財天 後継いだこと
桐生 後悔してないっていったら嘘になる。
弁財天 でも、よくやったとは思うけどな。父さんだって、お前みたいな気持ちだったと思うよ
桐生 あまりに無責任だ。
弁財天 ・・・
桐生 誰がこんなの作ったんだろう、天恵丸。
弁財天 まぁ、俺かな
桐生 え?
弁財天 気づいてなかったのか?
桐生 そりゃ、天恵丸は弁財天が作ったんじゃないかって、小さい時から思ってたけどさ。聞いても教えてくれなかったじゃん
弁財天 チビに言ってしまえば広められるかもしれなかったからな。
桐生 やっぱりお前が作ったのか
弁財天 お前の家系しか天恵丸を作れないだろ。俺はお前らの店にしかいない。・・・わかるか?
桐生 父だって、失敗する人をたくさん見てきたはずだ。それでも天恵丸を残した理由、それって何だろう
弁財天 捨てきれなかった、んじゃない
桐生 え?
弁財天 ダメなことだってわかってても、そこから脱却できないのが人間じゃない?・・・じゃあ聞くけど、お前はなんで店を継いだんだ?継がなければ、この店を終わらせられたぞ
桐生 俺は天恵丸で自分を見失う人になりたくなかった。ほかの人にも、そうなってほしくなかった。父は無責任に色んな人に売りさばいて、色んな人が変わっていった。いい方にも悪い方にも。私はその悪い方、を少しでも減らしたかった。父の代で終わらせるのは、さすがに後悔があった。
弁財天 じゃあ、俺はその悪の方が多かっただろうな
桐生 どういうこと?
弁財天 俺は天恵丸を作った。当時から才能が無くてうちひしがれる人が多すぎてな。じゃあ、俺神なんだからみんなに才能渡せるんじゃね、って思って。一番無責任だったのは俺だったかもな。才能捨てたい人なんているって思ってなかったし
桐生 ・・・
弁財天 才能屋、また始めるってことはないのか。
桐生 どうだろうね。今のところ始めるつもりはないかな。
弁財天 そうか。
桐生 気持ちが落ち着いてからだな。・・・あの子に伝えたいことあったんだけどなぁ
弁財天 多分、彼はここに来るよ。才能銀行壊したこと、申し訳なく思ってるだろうから。そこ。そのテーブルに、手紙おいていったらどう?まぁ、俺が伝えておくよ。お前にはあとから付いてくよ。
桐生 わかった。(筆を取る)
弁財天 この店の存在意義って何なんだろう、って四半世紀ずっと考えてた。
桐生 ずっとか
弁財天 才能に対する理想って、無限にあるから。才能でたくさんの人が悩んでる。苦しんでる。
桐生 お前はどうなの、才能に対しては
弁財天 俺神だからさ。そこに関してはもう悟り開いてる。ただ、才能について考えることがなかったら、こうやってここにはいないだろうね
桐生 ・・・じゃあ、私行くわ
弁財天 おう、気を付けろよ
桐生 ありがとう
桐生は店から出ていく。
有村は桐生に声をかけようと思ったが、タイミングを逃した。
店の中には弁財天だけが佇んでいる
有村 失礼します・・・あれ?
(弁財天の方を見て)あの・・・
弁財天 (手紙を指さす)
有村 (手紙を手に取り)
桐生 許すことも、人間力だと知りました。君が、才能を捨てる決断をしたのも、人間力。弁償は要りません。この手紙、持っておいてください。必ず君を守ってくれます。
有村 (弁財天を見る)
弁財天 天恵丸はちょっと副作用あるからさ。なんか願い事あったら、叶えてあげるよ
有村 才能はいらないです。その代わり
弁財天 ?
有村 努力できる力をください
弁財天 お安い御用。
7年後、有村と遠山は居酒屋で話をしている。同時に柴田の合流を待っている。
店内の照明は白色だが、緑がかったようにも見える。
遠山 どこ選べばいいかわからなかったからさ、ネットで調べて一番上に出たとこ
有村 店内めっちゃきれいだよね、もっと小汚いかと
遠山 ここらへんじゃ一番稼げてるらしいしね
有村 そんなことよりやっと脚本完成したの!大変だったー
遠山 お、おめでとう。どんな内容だ?
有村 まぁ、それは秘密かな
遠山 なにそれ、教えてくれてもいいだろ
有村 ちゃんと見に来てほしいからさ
遠山 昔見せられた脚本みたいなやつ、信じられないぐらいつまらなかったもんな
有村 うるさい
遠山 よく才能手に入れたよ、すごい
有村 努力したからね。今回の脚本さ、はじめて劇団の脚本担当で書いたから、ちょっと緊張
遠山 公演、いつなの?
有村 来年四月、とかって聞いてるけど
柴田 ごめん、遅れた!
遠山 遅いよ柴田!
有村 また残業?
柴田 仕方ないだろ、なんか生活安全課に方言バリバリのおばちゃん来てさ、ずっと意味わからん相談してくるんだもん
遠山 それはキツイね
有村 やめたくならないの?毎日そんな感じだからさ
柴田 まぁ、自分で選んだ道だし、間違ってはないでしょ
遠山 俺もう絵描いてもさ、どっからも取材来ないし、正直食えてないんだよな。才能欲しいわぁ
有村 努力だろ、努力
柴田 それも悪くはないけどさ、全部努力なわけないだろ。俺だって未だに才能屋また使おうかなって思っちゃうときあるもん。すみません、生一杯ください
遠山 いやまぁ俺は思わない
有村 柴田は絶対にやめた方いい。すごかったよ、あの頃の不安定感
柴田 それいっつも言われるけどさ、全然自覚無いんだよね
遠山 そこも怖いからもうやめろってことよ!
柴田 わかったわかった
有村 実際頼らなくなってからの成長すごかったよ。なんか顔がいきいきしはじめたっていうか
柴田 わかる、っていうか店いきなり無くなっちゃったから仕方ないけどね
遠山 好都合だったよ。
店員 お待たせしました、生一杯です。柿の種付けておきます
柴田 うわー神ですか!ありがとうござ・・・神ですか?
店員 は、はい?
柴田 あ、すみません。あと追加でたこわさも
店員 かしこまりました
有村 知らなかった?この店柿の種付くよ
柴田 ほんと神じゃん
遠山 なんでさっき神ですかってガチで聞いてたの?
柴田 いや、なんか神に似てたなーって
有村 意味わかんねぇな
遠山 ああ
有村 いやー、脚本大丈夫かな
遠山 マジで読んでみたいな、それ
有村 中学の時から比べたら全然感覚とかわからなくなっちゃったけどね。
遠山 そうか、でも期待してるよ。どこでやるんだっけ
有村 下北かな
遠山 すごいね、一発目で。完成したら見に行くよ
柴田 いやー俺は生活苦しいから無理かなぁ
遠山 そんぐらい見に行ってやれよ笑
店員 お待たせしました、たこわさです
柴田 うわー、量多いっすねぇ!・・・すみません、本当に神じゃないですよね?
店員 (口に人差し指を当て、小声で)もう二度とあんな座り方したくないね。疲れて仕方ないんですよ~・・・
3人 いや神じゃん!