わたしは第三者を愛する為に夫の目を偸(ぬす)んでいる女にはやはり恋愛を感じないことはない。しかし第三者を愛する為に子供を顧みない女には満身の憎悪を感じている。
人物:芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)
1892-1927年。東京市京橋区(現在の東京都中央区)出身。東京帝大在学中に久米正雄、菊池寛らと第三次・第四次『新思潮』を創刊。1916年に発表した短編『鼻』が夏目漱石に激賞され、文壇に登場。新技巧派の代表的作家となる。1927年、薬物自殺。代表作に『羅生門』『地獄変』『河童』『侏儒の言葉』『歯車』『或阿呆の一生』などがある。