人生は歩いている影たるに過ぎん。只一時、舞台の上で、ぎっくりばったりをやって、やがて最早噂もされなくなるみじめな俳優のようなものだ。

人物:正宗白鳥(まさむねはくちょう)

1879-1962年。岡山県生まれ。本名は正宗忠夫(ただお)。島村抱月に師事し、美術、文芸、演劇などの痛烈な批評で注目される。1904年、処女作品となる『寂寞』を発表し、文壇デビュー。1908年には、日露戦争後の青年像を描いた『何処へ』を発表。のち、活動の主力を『内村鑑三』『作家論』などの評論執筆に注いだ。1950年、文化勲章受章。